一人暮らしの物件を探していると、フリーレントという言葉を見ることはありませんか?フリーレント物件は一定期間の家賃が無料となるため、何かと様々な費用がかかる一人暮らし最初の初期費用を抑えることができますが、思わぬ落とし穴にハマってしまう可能性もあります。今回は、フリーレント物件の仕組みや注意点、みるべきポイントまでわかりやすく解説していきます。
フリーレント物件とは?
フリーレントとは、その文字通り「入居後の一定期間は家賃が無料になる物件」のことです。無料となる期間は、入居後の日割り家賃や数週間の場合、1ヶ月や3ヶ月、中には6ヶ月というとなる物件も存在します。元々フリーレントという仕組み自体は、事務所や店舗などの不動産賃貸で昔から存在しました。そして2000年頃以降、賃貸住宅向けのフリーレント物件が徐々に増加してきています。
一人暮らしのスタートでは、敷金や礼金、仲介手数料や前家賃など、様々な初期費用が必要になります。フリーレント物件に引っ越すことで、初期費用の一部を安くすることが可能といえます。
フリーレントは短期違約金が設定されており、一定期間住むことが前提
もしかすると「短い期間で無料期間のみフリーレント物件に住もう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのようなことが可能なケースはほぼないと考えていいでしょう。
多くのフリーレント物件には、短い期間で退去する場合には、違約金の支払いが必要となる「短期違約金」が設定されている場合がほとんどです。契約後にすぐに退去または契約をする場合、フリーレントの期間分や家賃の2ヶ月分や1ヶ月分などが違約金として必要になることを条件に、フリーレントの特典をうけることができるもとなっています。
もし一時的なものですぐに解約する場合、普通の物件よりも高くついてしまう可能性もあります。そのため、短期間で引越をする可能性がある場合などは、フリーレントの物件は避けたほうがいいでしょう。
フリーレントは住んでもらう人を探すための方法
なぜフリーレントをしているかという理由を1つに集約するとすれば、「住んでもらう人を探すため」です。現在の日本では、家賃や間取り、平米数、駅からの距離を含めて、似たような物件がたくさんあります。さらにインターネットの発展によって、「不動産会社に相談しなくても、一人で様々な物件を比較・検討できる」世の中となりました。大家さんの住民探しの競争は激化してきており、今まで通りの条件ではせっかくの家賃収入を得ることが難しくなってきたのです。
その住民探しの競争手段の1つがこのフリーレントとという手段です。ただ、非常に人気の物件であれば、フリーレントとしなくても住民が集まります。フリーレント=条件が悪いという訳ではなく、いい物件はたくさんありますが、「競争が必要な物件」であることはおさえておきましょう。
なお、似たような物件として、敷金や礼金が無料になるゼロゼロ物件などが挙げられます。
大家さんからすれば家賃は下げるよりはフリーレント期間を設けたほうがいい
大家さんの立場からすれば、一定期間を無料で貸す以外にも、毎月の賃料を下げるという方法もあります。しかし、月の賃料を下げた場合、すでに住んでくれている他の住民から自分たちの賃料を下げてくれとなることに繋がりかねません。さらに、一度下げてしまった賃料は上げにくいのです。
フリーレントとすれば、一定期間は実質タダで物件を貸すことになってしまうものの、代わりに家賃を下げることをしなくて済みます。このような事情からも、フリーレント物件が増加している理由と言えます。
外部リンク:C+ONE「家賃を下げずに空室を埋める|原因追及により効果的な空室対策を」
フリーレント物件は二重家賃が発生させない方法にも
二重家賃とは、旧居の契約期間と新居の入居可能日がずれることで、一定期間昔の家と新しい家の双方の家賃が発生してしまうことです。特に一人暮らしの2回目以降の引越しの際には、退去する前に物件に告知しなければなりません。そして新居には前家賃などの家賃が発生します。そのため「現在の家賃と新しい家賃が二重で必要になる」ことがあるのです。
そこで新居をフリーレントの物件を選び、家賃無料の期間を旧居の契約期間に割りあてて、二重家賃を防ぐという方法もあります。しかし、あくまで「初期費用や二重家賃を抑える1つの方法」であって、誰にでもおすすめできるというわけではありません。
フリーレントを必須条件にする必要はなく、総合的に判断するように
ここまでをまとめると、フリーレントとは一定期間の家賃がかからない物件で初期費用を抑えることが可能となります。しかし、違約金が設定されていることも多く、短期間で引っ越す可能性がある場合などは避けた方が無難でしょう。さらに、フリーレントという名目から、安く見えることはあっても、他の費用が高くあまり変わらないような物件もあります。
初期費用を抑える1つの方法であって、必須な条件というわけではありません。初期費用は抑える方法は他にもたくさんあり、自分自身にとってどの方法がベストなのか、ぜひ一人暮らし専門のプロに相談してみるといいでしょう。